中学受験・小6の夏休みの過ごし方|3つのタイプ別に灘・東大卒プロ家庭教師が解説
小6の夏休みに、すべての受験生に共通する勉強法はありません。
塾の授業時間や宿題の量、現在の学力、第一志望校の過去問に取り組める段階かどうかによって、夏休みに優先すべき内容は変わります。
ただし、20年以上にわたり中学受験生を指導してきた経験から、夏休みの勉強方針は、大きく3つに分けて考えると優先順位を決めやすくなると感じています。
まずは、お子さんがどのタイプに当てはまるかを確認してみてください。
お子さんはどのタイプですか?
タイプ1 塾の授業と宿題だけで、毎日ほとんど時間がなくなる
希学園など、授業時間が長く、宿題の量も多いうえに、扱う問題の難度も高い塾に通っている生徒です。
このタイプは、新しい問題集や過去問を追加するよりも、塾の教材の中で、自力で解ける問題を一問でも多く増やすことを優先します。
タイプ2 塾の課題を終えても、ほかの勉強に使える時間がある
塾の宿題を無理なく進められ、第一志望校の過去問にもある程度取り組める生徒です。
すぐには正解できなくても、解説を読めば考え方を理解でき、その後に自力で解き直せる程度の学力が一つの目安です。
このタイプは、まず第一志望校の図形・速さの問題に取り組みます。
タイプ3 苦手分野が多く、過去問よりも基礎・標準問題を優先したい
基本問題にも解けないものが多く、第一志望校の過去問に進んでも、解説を読むだけになりやすい生徒です。
このタイプは、苦手分野をすべて同じ水準まで仕上げようとせず、単元ごとに夏休みの目標を変えます。
タイプ1 塾の教材の中で、自力で解ける問題を増やす
希学園など、授業時間が長く、宿題の量も多い塾では、夏休みに新しい教材を追加することは勧めません。
通常授業と夏期講習の宿題が重なるため、間違えた問題をすべて解き直す時間を取れない生徒も少なくありません。
このタイプでは、すべての問題を完璧にしようとするのではなく、授業で扱った重要な問題や、復習テストで間違えた比較的取り組みやすい問題から優先します。
解説を読んで終わるのではなく、もう一度問題を見たときに、解説を見ずに自力で解けるかを確かめます。
すべてを解き直せなくても、一問でも多く自力で解ける問題を増やすことが大切です。
復習テストも、点数だけを目的にするものではありません。
宿題で扱った内容のうち、どこまで自力で解けるようになったかを確認するために使います。
このタイプの夏休みの目標は、塾から与えられた問題の中で、自力で解けるものを一問でも多く増やすことです。
夏期講習の宿題をすべて進めることが難しい場合の優先順位は、別の記事で詳しく説明します。
タイプ2 第一志望校の過去問から、まず図形・速さに取り組む
塾の課題を終えた後にも時間があり、一定の学力がある生徒には、夏休みから第一志望校の過去問を使うことがあります。
ただし、最初から一年分を、本番と同じ時間で通して解く必要はありません。
まずは、第一志望校の過去問から、次の分野を抜き出します。
- 平面図形
- 立体図形
- 速さ
最初は図形・速さに絞り、それでも時間に余裕があれば、ほかの単元へ広げます。
過去問に取り組むといっても、最初から正解できる必要はありません。
すぐには解けなくても、解説を読んで考え方を理解し、その後に自力で解き直せるのであれば、取り組む意味はあります。
難関校の図形・速さには、典型的な解法を覚えただけでは対応しにくい問題が多くあります。
問題文に書かれた条件をどのように使うのか、どこから考え始めるのかを、自分で判断する力が求められます。
夏休みに過去問を解くことで、第一志望校が図形・速さでどの程度の力を求めているのかを、早めに知ることができます。
秋になると、年度ごとの過去問演習や志望校別の授業、模試が増えていきます。そのため、一問だけを取り出し、時間をかけて考え方を理解し、もう一度自力で解く時間を取りにくくなります。
夏休みのうちに図形・速さの問題を選び、一問ずつじっくり取り組む意味はここにあります。
直近の過去問が難しい場合
第一志望校の直近の過去問が難しすぎる場合でも、過去問を使わないとは限りません。
学校によっては、10〜20年前の問題の中に、直近の年度よりも取り組みやすい問題があります。また、第一志望校より少し難度の低い併願校の過去問を使う方法もあります。
ただし、古い問題であれば何でもよいわけではありません。現在の出題傾向にもつながる問題を選びます。
比較的取り組みやすい問題でも、覚えた解法をそのまま当てはめるのではなく、条件を読み取って考える必要があるものであれば、夏休みに取り組む価値は十分にあります。
大切なのは、「過去問を何年分終えたか」ではありません。
第一志望校につながる問題を選び、解くための考え方を身につけることです。
過去問を始める時期や、夏休みと秋以降での使い方の違いは、別の記事で説明しています。
タイプ3 苦手分野ごとに目標を変える
苦手分野が多くても、夏休みにすべてを克服しようとする必要はありません。
すべての単元を同じ水準まで引き上げようとすると、どの分野も十分に身につかないまま、夏休みが終わることがあります。
このタイプでは、単元ごとに目標を変えます。例えば、次のように考えます。
- 図形・速さは、塾のテキストの標準問題を自力で解けるようにする
- 数の性質は、まず基本問題を確実に解けるようにする
- 理科の力学・化学の計算問題は、テキストの基本問題を確実に解けるようにする
図形・速さを数の性質よりも高い水準まで扱うのは、図形・速さが夏休みに時間をかけたい分野だからです。
図形・速さは、基本的な考え方が十分に身についていないと、秋以降に過去問へ進んでも、解説を読んで分かったつもりになるだけになりやすい分野です。
一方、典型的な数の性質の問題は、まず基本を押さえ、その後に演習量を増やすことで、秋以降でも伸ばせることがあります。
また、算数と理科の両方に大きな課題がある場合は、夏休みには算数に多くの時間を使うことを勧めます。
私がこれまで担当した生徒の中で、理科の不得意だけを理由に志望校を下げた生徒はいません。知識分野を含め、理科は秋以降の学習でも得点を伸ばせることが多いからです。
夏休みの目標は一つか二つで十分です
夏休みも、塾の授業や宿題に追われる時期です。
毎日の予定を細かく決めても、授業の延長や宿題の増減、体調などによって、計画どおりに進まないことは珍しくありません。
そのため、夏休み全体の目標は、一つか二つに絞ります。
タイプ1なら、塾の教材の中で、自力で解ける問題を一問でも多く増やすこと。
タイプ2なら、第一志望校の図形・速さの過去問に取り組むこと。
タイプ3なら、図形・速さは標準問題まで、数の性質は基本問題までというように、単元ごとの目標を決めることです。
暗記をすべて終わらせる、新しい問題集を何冊も完成させる、苦手分野をすべてなくすといった目標を並べる必要はありません。
大切なのは、塾の授業時間や宿題の量、現在の学力に合わせて、夏休みに何を優先するかを決めることです。
夏休みが終わったときに、「これだけは以前よりできるようになった」と言えるものを一つか二つ作ることが、夏休みの学習では重要です。
ほかの中学受験に関する悩みについては、保護者向けの案内ページをご覧ください。
