中学受験理科|てこの基本と解き方
1 .てこの問題でつまずく原因と対策
中学受験理科のてこは、「力×支点からの距離」を使って、つり合いを考える単元です。
てこの問題では、支点の位置、力の向き、距離の測り方、棒の重さや重心を正しく整理できないと、式を立てる前に手が止まってしまいます。
中学受験理科のてこでつまずくお子さんは少なくありません。
たとえば、次のような状態です。
・支点の位置を決めきれず、モーメントの式が立てられない
・支点から力のはたらく点までの距離や、棒の重さ・重心の位置を正しく整理できない
・上向きの力の合計=下向きの力の合計を、どこで使えばよいか分からない
てこは、公式を覚えるだけでは安定して解けるようになりにくい単元です。
そのため、てこの問題は次の2つの手順で整理すると考えやすくなります。
1つ目は、力の矢印を書くことです。
2つ目は、モーメントの式を立てることです。
この解法手順を守れば、問題文の条件を正確に整理できるようになり、てこは得点源に変わります。
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2. てこの解法手順:力のバランスとモーメント
てこの解法手順は、
①力の矢印を、上向きの力と下向きの力にわけて書く
②支点を決めて、モーメントの式を立てる
これだけです。次から、手順を詳しく解説していきます。
手順① 力の矢印を書く(上向きの合計=下向きの合計)
まずは「何が上向きで、何が下向きか」を図にします。
- おもり:下向き
- つりひも・支え:上向き
そして大切な基礎知識はこれです。
上向きの力の合計=下向きの力の合計
(このルールだけで解ける問題もあります)
手順② 支点を決めて、モーメントの式を立てる
次に「回そうとする力」を比べます。
釣り合っている場合、必ず以下の式が成り立ちます。
左回りのモーメント=右回りのモーメント
モーメント=(力)×(支点からの距離)
ここで重要なのは、次の3点です。
- 支点はどこでもいい
- ただし、式が楽になる支点を選ぶのがコツ
- 距離は必ず支点から測る
多くの生徒が間違うのは、距離の取り方です。距離は必ず「支点から」測ります。
- 端から端までの長さではありません。
- おもりの位置から支点までの距離です。
- 棒の途中におもりがある場合も、同じです。
まず「支点はどこか?」を決め、次に「支点から何cmか?」だけを拾ってください。これができると、モーメントの式がブレなくなります。
てこは、力の向きやつり合いの考え方を身につけるうえで重要な単元です。
また、滑車や輪軸などにもつながる、力学分野の土台になる単元でもあります。
単元どうしのつながりも含めて理解したい方は、【中学受験の力学分野の対策まとめ】もあわせてご覧ください。
3 .中学受験レベルのてこ問題例と解説
例題①(基本:左右につりあう)
〈問題〉
重さを無視できる棒の両端に重りをつるしたところ、棒は水平になって釣り合い、ばねはかりAは100gを指しました。
①Xの値はいくつですか。
②Yの値はいくつですか。

手順①:力の矢印 → 上向きの合計=下向きの合計
この図で、上向きの力は、ばねはかりAが棒を引く力だけになります。
下向きの力は左右のおもりになるので、力の矢印は下の図2のようになります。

したがって、
上向きの力の合計=下向きの力の合計の式を使って
100g=60g+Xg
X=40
手順②:支点を決めてモーメント(左回り=右回り)
次に②Yを求めます。支点はどこでもよいのですが、計算を楽にするために、今回はばねはかりが支えている点にします。

支点にかかる力は、支点からの距離が0になるので、モーメントも0になります。
その結果、
- 左回りのモーメント:60g× 12cm
- 右回りのモーメント:40g × Ycm
左回りのモーメント=右回りのモーメントの式を使って
60g×12cm=40g×Ycm
Y=18
例題②(支点を「どこに置くか」がポイント)
〈問題〉
重さを無視できる長さ60cmの棒を、図のように2本のばねばかりを使って天井からさげ、棒の両端に重りをつるしたところ、棒は水平になって釣り合い、バネばかりAは40gを指しました。
Xの値はいくですか。

手順①:力の矢印 → 上向きの合計=下向きの合計
この図で、上向きの力は、ばねはかりAとばねはかりBが棒を引く力になります。
下向きの力は左右のおもりの重さになるので、力の矢印は下の図2のようになります。

手順②:支点を決めてモーメント(左回り=右回り)
この問題にはXとYの二つの未知数があるため、支点の選び方を間違えると未知数が増えて一気に解くのが難しくなります。
ポイントは、支点にかかる力は、支点からの距離が0になるので、モーメントも0になる点にあります。
つまり、力の大きさが未知数の点を支点にすると問題が解きやすくなります。

- 左回りのモーメント:60g× 40cm
- 右回りのモーメント:40g × 30cm+Xg×20cm
左回りのモーメント=右回りのモーメントの式を使って
60g×40cm=40g × 30cm+Xg×20cm
X=60
例題3(均一な棒の重さ)
〈問題〉
太さが均一な長さ60cm・重さ120gの棒を、図のようにばねばかりAと糸を使って天井からさげ、重りをつるしたところ、棒は水平になって釣り合いました。
ばねばかりは何gを指しますか。

手順①:力の矢印 → 上向きの合計=下向きの合計
この図で、上向きの力は、ばねはかりと天井からつるされた糸が棒を引く力になります。
下向きの力はおもりと棒の重さになります。また、太さが均一な棒の重さは、棒の真ん中の点(重心)に集中していると考えてよいので、力の矢印は下の図2のようになります。

手順②:支点を決めてモーメント(左回り=右回り)
この問題にもXとYの二つの未知数があるため、支点の選び方を間違えると未知数が増えて一気に解くのが難しくなります。
そこで、この問題も力の大きさが未知数の点を支点にします。

- 左回りのモーメント:120g×30cm+80g×15cm
- 右回りのモーメント:Xg×60cm
左回りのモーメント=右回りのモーメントの式を使って
120g×30cm+80g×15cm=Xg×60cm
X=80
例題4(太さが均一でない棒の重心)
〈問題〉
太さが均一でない長さ30cmの棒を、図のようにばねばかりAを使って天井からさげ、棒の右端に重りをつるしたところ、棒は水平になって釣り合い、ばねはかりAは250gを指しました。
①棒の重さは何gですか。
②Yの値はいくつですか。

手順①:力の矢印 → 上向きの合計=下向きの合計
この図で、上向きの力は、ばねはかりが棒を引く力になります。
下向きの力はおもりと棒の重さになるので、力の矢印は下の図2のようになります。

したがって、
上向きの力の合計=下向きの力の合計の式を使って
250g=50g+Xg
X=200
棒の重さは200gになります。
手順②:支点を決めてモーメント(左回り=右回り)
次に②Yを求めます。支点はどこでもよいのですが、計算を楽にするために、今回はばねはかりが支えている点にします。

- 左回りのモーメント:200g×Ycm
- 右回りのモーメント:50g×20cm
左回りのモーメント=右回りのモーメントの式を使って
200g×Ycm=50g×20cm
Y=5
4. まとめ:てこをマスターするためのポイント
てこをマスターするために大切なのは、感覚で解かず、毎回同じ手順で整理することです。
- 力の矢印を必ず書く
- 上向きの力の合計=下向きの力の合計で整理する
- 支点を意識して考える
この3つを徹底するだけで、てこの問題はかなり安定して解けるようになります。
5. 関連ページ
てこは、力の向きやつり合いの考え方が土台になる単元です。
理科全体の進め方は【理科の指導方針】で整理しています。
また、近い考え方を使う単元として【輪軸の基本と解き方】、【滑車の基本と解き方】も参考にしてください。
理科全体の分野ごとの対策は【理科の分野別対策まとめ】で整理しています。
6. てこでつまずいているお子さんへ
てこが苦手な場合、力の向きや支点からのきょり、モーメントの式の立て方が整理できていないことがあります。
特に、力の矢印を書かないまま式を立てようとすると、どちら向きに回ろうとしているのかが分からなくなり、途中で手が止まりやすくなります。
また、てこだけでなく、輪軸・滑車・浮力を含めた力学全体で、共通してつまずいている場合もあります。
問題数を増やす前に、どこに力がかかっているのか、支点からのきょりをどのように見るのか、つり合いの式をどう立てるのかを一つずつ確認することが大切です。
中学受験理科の指導では、実際に問題に取り組む様子を見ながら、どこで考え方が止まっているのかを確認しています。
対面授業は、大阪府・兵庫県を中心に、京都府・奈良県の一部地域で行っています。
遠方にお住まいの場合や、日程の都合で対面授業が難しい場合は、オンライン授業にも対応しています。