中学受験理科|滑車の基本と解き方

灘・東大卒の中学受験専門プロ家庭教師が、理科の滑車について、基本の考え方から解き方まで解説します。
大阪・兵庫を中心に対面指導を行い、遠方のご家庭にはオンライン指導にも対応しています。

中学受験の理科で「滑車」の問題に苦戦するお子さんが多いです。 定滑車と動滑車の見分けがつかない、ひもの力の向きがわからない、計算が合わない…そんな経験はありませんか?

灘・東大卒のプロ家庭教師が、2ステップだけで滑車をマスターできる方法をお伝えします。

1. 滑車の問題でつまずく理由

滑車が苦手になるのは、計算ができないからではありません。
多くの場合、「式を立てる前の整理」ができていないのが原因です。

滑車の問題は、図が少し変わるだけで見た目が大きく変わります。すると、

  • どこに力の矢印を書けばいいのか迷う
  • ひもが曲がった瞬間に、力も変わる気がしてしまう
  • どの部分について「上向きの合計=下向きの合計」の式を立てればいいか決められない

この3つが同時に起きて、途中で手が止まります。

逆に言うと、滑車はここを固定すれば一気に安定します。

  • ひもの出入り口に力の矢印を書く
  • 同じ1本のひもは同じ力(張力一定)としてそろえる
  • 赤枠で見る範囲を決めて、上向きの力の合計=下向きの力の合計の式を立てる

このページでは、この流れを 2ステップにまとめて、どんな図でも同じ手順で解けるようにします。

2. 滑車の解法手順:2ステップ

滑車の問題は2ステップだけで解けます。

  • ①力の矢印を書く。
  • ②上向きの力の合計=下向きの力の合計を使って、式を立てる。

具体的な力の矢印の書き方は、次の例題でくわしく説明しています。

3. 例題と解法手順の解説

次の図で、ひもを何gの力で引くとつりあいますか。ただし、滑車の重さは考えません。

中学受験理科の滑車(動滑車)例題1:60gをつり合いで考える配置図
図1 例題1(動滑車)

手順① 力の矢印を書く

この図で、力の矢印を書き込むと図2のようになります。

滑車の力の矢印の書き方:ひもの出入り口・向き・同じひもは同じ大きさ(例題1)
図2 例題1の力の矢印

ここで特に大切なのは、ひもの力の書き方です。
ポイントは3点あります。

  • ひもの出入り口
  • ひもが引っ張る方向
  • 力の大きさを書く

この問題で説明すると、

まず、①ひもの出入り口はA、B、C、Dなので、力の矢印を書く点はA、B、C、Dの4点になります。

次に、②ひもが引っ張る方向を考えます。

上側の滑車アでは、ひもが滑車アを 下向きに 引っ張っている
→ 図の赤い矢印A.Bは下向きの力になります。

下側の滑車イでは、ひもが滑車イを 上向きに 引っ張っている
→ 図の赤い矢印C.Dは上向きの力になります。

最後に、③力の大きさを考えます。

ここで、同じ1本のひもがピンと張って止まっているなら、ひもはどこでも同じ強さで引っ張っています。だから赤い矢印の力の大きさはすべて同じ□gです。

手順② 上向きの力の合計=下向きの力の合計の式を使って式を立てる。

つりあっているとき、各物体ごとに上向きの力の合計=下向きの力の合計の式が成り立ちます。

赤枠で見る範囲を決めて上向き合計=下向き合計(2□=60g)を立てる図
図3 例題1:赤枠で「上向き合計=下向き合計」

よって、ひもを引く力は、30gとなります。

滑車は、力の向きと大きさを整理しながら考えることが大切な単元です。
また、てこや輪軸などにもつながる、力学分野の基本を確認する単元でもあります。
単元どうしのつながりも含めて理解したい方は、【中学受験の力学分野の対策まとめ】もあわせてご覧ください。

4. 中学受験レベルの滑車問題例と解説

次の図で、ひもを100gの力で引くとつりあいました。滑車アの重さは何gですか。

中学受験理科の複合滑車の例題2:60gとひもを100gで引く設定の配置図
図4 例題2(複合滑車)

手順① 力の矢印を書く

この図で、力の矢印を書き込むと図5のようになります。

複合滑車の力の矢印:同じ1本のひもの張力は100gでそろえる(例題2)
図5 例題2:同じ1本のひもなら、赤矢印の大きさ(張力)はすべて100gで同じ

ひもの力の書き方の手順に沿って力の矢印を書きます。

まず、①滑車ア(動滑車)にひもがかかっている箇所が3か所あるので、ひもの出入り口B、CだけでなくAでもひもに引っ張られています。
よって、力の矢印を書く点はA、B、C、D、E、F、Gの7点になります。

次に、②ひもが引っ張る方向を考えます。

上側の滑車イ、ウでは、ひもが滑車イ、ウを 下向きに 引っ張っている
→ 図の赤い矢印D,E,F,Gは下向きの力になります。

下側の滑車アでは、ひもが滑車アを 上向きに 引っ張っている
→ 図の赤い矢印A,B,Cは上向きの力になります。

最後に、③力の大きさを考えます。

ここで、同じ1本のひもがピンと張って止まっているなら、ひもはどこでも同じ強さで引っ張っています。だから赤い矢印の力の大きさはすべて同じ100gです。

手順② 上向きの力の合計=下向きの力の合計の式を使って式を立てる。

つりあっているとき、各物体ごとに上向きの力の合計=下向きの力の合計の式が成り立ちます。

赤枠で立てるつり合い:100g×3=60g+滑車の重さ(例題2)の式の図
図6 例題2:赤枠(滑車ア)で上向き合計=下向き合計→100g×3=60g+滑車アの重さ(=240g)

よって、滑車アの重さは240gになります。

5. 滑車がわからないときは

滑車の問題がわからないと、「自分は理科が苦手なのかな」と思ってしまうことがあります。

でも、解説を読んでもよくわからなかったり、基本問題で止まったりすることは誰にでもあります。

大切なのは、「自分はできない」と決めつけることではなく、どこでわからなくなったのかを見つけることです。

そこを少しずつ整理していけば、前よりも問題に取り組みやすくなります。

勉強でつまずいたときに、どう考えればよいかを小学生向けにまとめたページもあります。

中学受験の勉強でつまずいている小学生へ

保護者の方には、塾の授業についていくことが難しくなっている場合の指導方針をまとめています。

中学受験の勉強を立て直したいご家庭へ

6. まとめ:滑車をマスターするためのポイント(2ステップで固定)

滑車は暗記ではなく、毎回同じ手順で整理できるかで決まります。
やることは次の 2ステップだけです。

ステップ①:力の矢印を書く

滑車にかかる力の矢印を書く時は、次の 3ポイントを意識すると一気に楽になります。

  1. ひもの出入り口に書く(ひもが滑車にかかっている場所)
  2. ひもに沿った向きで書く
  3. 同じ1本のひもなら力の大きさは同じ

ステップ②:上向きの力の合計=下向きの力の合計(見る範囲を決めて式)

次に大事なのは、「上向きの力の合計=下向きの力の合計」の式をどこについて立てるかです。
釣り合っている状態では、すべての物体ごとに式が成り立っているので、式を立てる前に見る範囲(赤枠)を決める のがコツです。


7. 関連ページ

滑車は、力の向きとつり合いの考え方が土台になる単元です。
理科全体の進め方は【理科の指導方針】で整理しています。
また、近い力学単元として【てこの基本と解き方】、【輪軸の基本と解き方】も参考にしてください。
理科全体の分野ごとの対策は、【理科の分野別対策まとめ】で整理しています。

8. 滑車・力学でつまずいているお子さんへ

滑車が苦手な場合、滑車にかかる力の矢印を書けない、上向きの力と下向きの力をどこについて比べればよいか分からない、というところで止まっていることが多くあります。

また、滑車だけでなく、てこ・輪軸・浮力など、力学全体で共通してつまずいているケースも少なくありません。

  • 定滑車と動滑車の違いがよく分からない
  • ひもの力の向きが整理できない
  • 同じ1本のひもは同じ力、という考え方が使えない
  • 上向きの力の合計=下向きの力の合計の式をどこで立てればよいか迷う
  • 塾の解説を聞いても、似た問題になると解けない
  • てこ・滑車・輪軸になると急に点が取れなくなる

このような場合は、問題数を増やすだけでは十分でないことがあります。
まずは、どこで考え方が止まっているのかを確認し、力の矢印、ひもの張力、見る範囲の決め方、つり合いの式の立て方を一つずつ整理することが大切です。

体験授業では、実際に問題に取り組む様子を見ながら、どの段階でつまずいているのかを確認します。
そのうえで、滑車だけを復習すればよいのか、てこ・輪軸・浮力を含めた力学全体を整理した方がよいのかをご提案します。

対面指導に加えて、オンライン指導にも対応しています。
遠方の方でも、問題や答案を共有していただければ、力の向き、図の書き方、条件整理、つり合いの式の立て方を確認しながら進めることができます。

また、体験授業を受けるかどうか決まっていない段階でも、ご相談いただけます。

「今の成績で家庭教師に相談してよいのか」
「塾の宿題や家庭学習をどう整理すればよいのか」
「志望校に向けて、何から立て直すべきか」
「まずは相談だけしてみたい」

という場合も、お気軽にお問い合わせください。

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