中学受験理科|輪軸の基本と解き方
1. 輪軸の問題でつまずく原因
中学受験理科の輪軸でつまずくお子さんは少なくありません。
たとえば、次のような状態です。
・大きい輪と小さい輪のどちらの半径を使えばよいか分からない
・どの力にどの半径をかければよいか分からない
・てこは分かっていても、輪軸になると式が立てられない
理由は、輪軸だけが特別に難しいからではありません。
多くの場合、何を見て、どう考えればよいかが整理できていないことが原因です。
輪軸は、見た目が少し特殊に感じます。
そのため、別の新しい単元として覚えようとしてしまいがちです。
ですが、実際には、輪軸はてこの考え方で解ける問題です。
つまり、てこの「力×距離」と同じように、輪軸では「力×半径」を使って、大きい輪と小さい輪にかかる力の関係を考えます。
この見方が分かると、輪軸は苦手単元から得点源に変わります。
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2. 輪軸は「てこ」と同じ考え方で解く
輪軸では、大きい輪と小さい輪が同じ中心で一緒に回ります。
ここで大切なのは、中心から遠いところにかかる力の方が有利ということです。
これは、てこでいう
支点から遠いところにかかる力の方が有利
という考え方と同じです。
つまり、輪軸では見た目は少し違っていても、考えていることはてことほぼ同じです。
てこでは、
力 × 支点からのきょり
を比べました。
輪軸でも同じように、
力 × 中心からのきょり
を比べます。
ただし、輪軸ではこの「中心からのきょり」が、てこの横の長さではなく、輪軸の半径になります。
したがって、輪軸がつり合っているときは、
力 × 半径
を左右で比べればよい、ということになります。

このように、輪軸を別の単元としてとらえるのではなく、
てこの考え方を回転の形で使っている問題
として理解することが大切です。
このつながりが分かると、輪軸の問題はかなり解きやすくなります。
3. 輪軸の解法手順
輪軸の問題も、考え方の基本はてこと同じです。
手順は次の2つです。
手順① 力の矢印を書く
まずは、輪軸にはたらいている力の矢印を書きます。
ここをあいまいにしたまま式を立てようとすると、どちら向きに回ろうとしているのかが分からなくなります。
矢印は、ひもが輪軸から出ているところに、ひもが輪軸を引く向きに書きます。
「重りがあるから下向き」と見た目だけで決めるのではなく、
そのひもが輪軸をどちら向きに引いているかを考えて書くことが大切です。
輪軸の問題では、まずここを正しく書けるかどうかで、そのあとの式の立てやすさがかなり変わります。
手順② モーメントの式を立てる
力の矢印が書けたら、次にモーメントの式を立てます。
考え方はてこと同じで、
力 × きょり
を比べます。
ただし、輪軸では、この「きょり」はてこの横の長さではありません。
輪軸の中心から、その力がかかっているところまでのきょりを使います。
つまり、輪軸では「きょり」は半径です。
大きい輪にかかる力には大きい輪の半径をかけ、
小さい輪にかかる力には小さい輪の半径をかけます。
したがって、つり合っているときは、
力 × 半径 = 力 × 半径
の形で式を立てます。
輪軸で大事なのは、
きょり=中心からのきょり=半径
と理解することです。
ここが分かれば、輪軸は特別な公式を丸暗記する単元ではなく、
てこの考え方をそのまま使える問題だと分かります。
輪軸は、てこや滑車にもつながる、力学分野の考え方を広げる単元でもあります。
単元どうしのつながりも含めて理解したい方は、【中学受験の力学分野の対策まとめ】もあわせてご覧ください。
4. 例題で確認してみましょう
ここでは、輪軸の問題を実際に2問見ていきます。
どちらも、力の矢印を書く → モーメントの式を立てるという流れで考えます。
例題1
重さが60gのおもりAと重さがわからないおもりBと輪軸アを用いて図1のような装置を作ったところ、AとBは静止しました。
おもりBは何gですか。

手順① 力の矢印を書く
まず、ひもが輪軸を引く向きに矢印を書きます。
図1では、
- おもりAは小輪にぶら下がっている
- おもりBは大輪にぶら下がっている
ことを確認します。
したがって、
- Aの重さ60gは、小輪を引く力
- Bの重さは、大輪を引く力
として考えます
よって、力の矢印を書き込むと、図2のようになります。

手順② モーメントの式を立てる
輪軸が静止しているので、左右のモーメントはつり合っています。
このとき使うきょりは、輪軸の中心からのきょり、つまり半径です。
そのため、モーメントの式は図3のようになります。

よって、おもりBの重さは40gになります。
例題2
重さが60gのおもりAと重さがわからないおもりCと輪軸ア、イを用いて図4のような装置を作ったところ、AとCは静止しました。
おもりCは何gですか。

手順① 力の矢印を書く
まず、ひもが輪軸を引く向きに矢印を書き込むと図5のようになります。

手順② モーメントの式を立てる
この問題では、いきなりCの重さを求めることはできないので、先に輪軸イでXgを求めるのがポイントです。

図6のように、輪軸イに着目して、モーメントの式を立てると、Xgは120gと求めることができます。
次に、輪軸アに注目します。

図7のように、輪軸アに着目して、モーメントの式を立てると、□は180と求めることができます。
よって、おもりCの重さは180gになります。
この問題のポイント
この問題は、輪軸が2つ出てくるので、少し複雑に見えます。
ですが、やることは同じです。
- まず力の矢印を書き込む
- 次に、1つ目の輪軸でモーメントの式を立て、Xを求める
- 最後にXを使って、もう1つの輪軸でモーメントの式を立て、□を求める
という順番で整理すれば解けます。
難しく見える問題でも、1つずつ分けて考えることが大切です。
5. まとめ:輪軸をマスターするためのポイント
輪軸をマスターするために大切なのは、感覚で解かず、毎回同じ手順で整理することです。
- 力の矢印を必ず書く
- モーメントの式を立てる
- きょりは輪軸の中心からのきょり、つまり半径で考える
この3つを徹底するだけで、輪軸の問題はかなり安定して解けるようになります。
輪軸は、見た目は少し特殊ですが、考え方の土台はてこと同じです。
力 × きょりでつり合いを考える、という基本が分かれば、基本問題だけでなく、輪軸が2つ出てくる問題にも対応しやすくなります。
6. 関連ページ
輪軸は、力の向きとつり合いの考え方が土台になる単元です。
理科全体の進め方は【理科の指導方針】で整理しています。
また、近い考え方を使う単元として【てこの基本と解き方】、【滑車の基本と解き方】も参考にしてください。
理科全体の分野ごとの対策は、【理科の分野別対策まとめ】で整理しています。
7. 輪軸でつまずいているお子さんへ
輪軸が苦手な場合、力の向きや半径の見方、モーメントの式の立て方が整理できていないことがあります。
特に、力の矢印を書かないまま式を立てようとすると、どちら向きに回ろうとしているのかが分からなくなり、途中で手が止まりやすくなります。
また、輪軸だけでなく、てこ・滑車・浮力を含めた力学全体で、共通してつまずいている場合もあります。
問題数を増やす前に、どこに力がかかっているのか、どの半径を使うのか、つり合いの式をどう立てるのかを一つずつ確認することが大切です。
中学受験理科の指導では、実際に問題に取り組む様子を見ながら、どこで考え方が止まっているのかを確認しています。
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